ダメ人間はダメ人間

 やっぱり恥を知るというのは大切なことだと思う。努力の起爆剤、推進剤としては最高のものじゃないかな? 誰だって馬鹿にされたくないしね。
 でも今日は努力できない。眠くてたまらないから。この感情を忘れないようにしたいね。

以下妄想

 死ねばいいんだ。この言葉が口癖になって、随分経つ。あいつは、将来ろくな人間にならない。きっと、チンピラになる。だから死ねばいい。
 薄暗い帰路でそんなことを考えていた。外灯を見る度に「俺って生きてる価値があるのかなあ」と呟き、胸がずきっとなる。俺は自分のことをくだらない存在だと思っている。というよりも人間の存在がくだらないと思っている。所詮は環境破壊型生物。環境保護に傾倒すればするほど生きることに罪悪感を覚える。誰かと電車に乗れば、違う誰かを嘲る毎日。後で後悔する毎日。学習能力のない、愚劣な存在。俺だけとは思えない。
 その愚劣な存在の中でも、いかにマシな存在か、という順位付けのようなものがある。あいつは、天文学的数字の人類の中でも下等に属する。存在意義は上等を引き立てるためだけ。しかしその意義は俺を煩わすことで消滅する。人間は共通の世界観を持てない。主観こそ唯一の世界観であり、世界は六十億以上存在する。その六十億分の一の世界で、あいつは不適格な存在となった。消えてしまえばいい。誰かの世界にいてもいいが、俺の世界からは消えてくれ。六十億の世界が一つの土俵で繰り広げられることは、とてもおかしく思う。昔のアニメで、ある組織が人類救済の計画を遂行していたが、結局は一つになって解放されるということだったのか? 当時は分からなかった。今も、内容を覚えていないか分からないけど。仮にそうだとしたら、僕はそのアニメの中で生活したかった。解放、救済。永遠のテーマだ。
 腹が鳴ったとき、自分の考えが散漫になっていると気付いた。そうだ。今、俺は腹が減っている。何故か? ここに飯がないからだ。もしも露店が出ていたらこんなくだらないことで悩まなくてもいいんだ。しかし財布には九十円しか入っていない。これでは何も買えない。いや、そもそもお金とはなんだ? ただの金属じゃないか。通貨などなければ、所持金の概念などいらない。しかし通貨がなければ物々交換になるだけだ。いやいや、人間が財産を共有すれば、物々交換などというものは要らないんだ。
 そうか。これからは革命が必要なんだ。永遠のユートピアが必要なんだ。食べ物に困らず、財産を共有できる社会が。だから共産主義を完璧にして、ポスト共産主義を完成させるんだ。そうすれば俺がマルクスだ、スターリンだ。気に入らないあいつもギロチン台に送れる。
 明日は休みだ。図書館へマルクスを借りに行こう。ポスト構造主義だって、レヴィ=ストロースを参考にしたはずだ。くだらない人類の滅亡は俺の思想が完成してからにしてくれ。もし俺があいつを殺せないなら、神よ、お前が殺せ。だからあと三十年は待ってくれ。絶対にギロチン台で泣き叫んで命乞いをするようにしてやるんだ。