本当の日記

 テスト終了。一教科不安が残るも恐らく赤点は無い。放課後、幽霊部員の僕が部活動に励もうと顧問に会いに行くも不在。推薦試験の面接で部活動について語らなければならないので面接官を誤魔化せる程度に活動しようとした矢先にこれである。仕方ないので友人の買い物に付き合った後、他校の友人も交えてラーメンを食す。美味。薄々気づいてはいたが、僕は辛いものが好きになった。以前は食す前から敬遠していたが、今の僕には、スパイスはオアシスなのだ。
 同じ面子で電車に乗る。友人に「●●新聞でも読め」と茶化し気味に言われた。僕は「新聞なんて暗いニュースだけで、嫌になる。憂鬱になるか憤慨するかのどちらかじゃないか。だから僕はもう新聞なんてまともに読むつもりはない。無駄に悩むために金を払うのも馬鹿馬鹿しい。あんなものを読んで悦に浸る大人なんて大嫌いだ」と熱弁するも、僕の向かい側の席に新聞を読むサラリーマンが居ることに気づいたとき、車両半個分の空間は音を立てて壊れた。新聞を読んでいる人がいるなら語っている途中に注意してくれと友人に言う。恥ずかしさに耐えきれずに発した苦し紛れの言葉。更に足掻いて「さて、家に帰ったら一面でも読むかな」と先程と正反対の言葉を吐く。心機一転を図って進路の話を持ち込む。大学生になったらどうするだのと談じて十分程経ち、駅に着く。
 駅からは他校の生徒と途中まで共にし帰宅する。学校を辞めた知人について談じながら。
 帰宅してすぐに服を買わなければならないことを思い出す。本当は服など欲しくはないが無ければ不都合なので素直に買いに行く。店に着き、色々物色するも納得する品を得ず。元々良品を置いている店ではないので仕方がないのだが。良品は高く手を出しかねるので結局粗悪品に落ち着くのである。小一時間探し回って長袖三枚を購入。約五千円也。その後隣の古本屋で『すもももももも』第二巻と『ドグラ・マグラ』上巻を購入。約六百円也。
 帰り、小学生に「Hey! Come on baby,OK?」と声をかけられる。最近の小学生は英語を習っているらしい。僕の学校の英語教師よりも上手い発音だった。その小学生の隣にいたもう一人が「きもーい!」と笑いながら言っていた。これは英語で話しかけた彼女のことか、それとも僕のことか。普通前者の可能性が大なのだが、僕はキモメンなので半々の可能性としてよいだろう。イケメンだったらここで「OK! I love you!」と言うに違いないのだから、笑いながら逃げてしまった僕は本当にキモメンである。もし後者が正しかったら、小学生にキモいと言われた僕は伝説となる。これは魔王討伐を促す暗示なのだろうか。